物凄く晴れた日だった。
 空には雲ひとつ無く、遮るものがなくて眩しかった。
 ふと思い出す景色に広がる色は、世界中のどこをさがしても無かった。
 俺の中で失われて永遠にあの時で止まっている。

 遠い高い 天のいろ。
 浮かぶのは、小さかった頃の寒い日の青。
 ぐるりと回って、どこを見ても同じいろ
 手を伸ばせば届くと思った。
 届く日が来ると、思っていた。





 帰りたいという思いはいつだって俺の中にある。
 その時は失われて永遠にあの時で止まっている。
 三人から二人、ふたりからひとり。
 やり切れなくて全部なくしたと思った時間は過ぎた。
 ふと思い出す。
 ただ、寂しいと思う。

 寂しいという枠だけで収まるかどうか分からない。
 それでも寂しいんだと強く思う。

 無くなったものは全部自分の中にある、そんな風に言い切れる位にまだ割り切れていない。
 思い出して思い出して思い出して、どうしようも無くなる。
 悲しいのとは違う。
 どうしようもなくなる。
 行き場がなくて抱えたまま。
 風化させたくないんだろう。

 言いたくない事も、言いたい事も、言っていない事も沢山ある。
 伝えたかった事を結局言えなかったのが未だに悔しいんだと思う。
 俺の次の人にいつかそれを話そうと思う。
 ただ話したい。
 聞かされた方は意味が分からずに困惑するだろうか。
 それならそれで良いと思う。





 どこへでも行く
 どこにだって行ける
 そうだった。

 そう思っていた。
 帰りたかった場所はいつだって俺の中にある。

 「いつ」なんて約束は出来ないけど、いつか側に行く。


 ありがとう、ただいま。




* * * * * * * * * *

 「玉響〜」バージョンのバッツです。分かりづらいのは玉響だからもう、しょうがないなあと思ってしまう(苦笑)ってーか短いよな
 「あお・むら・さき」の三つ区切りになってます。
(04.12.14)


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