遠くに浮かぶ白、合間に刻まれる陰影。
 目を閉じても尚、切り裂くような綺羅の蒼。
 そして下には、反射する悠遠の青。

 焦がれて忘れないでと言うような、清冽な世界。

 目を開けて届いた光に、焼き切れてしまうのではないかと思った。
 ずっと変わらずずっと愛しい、誰もが抱く本能のような。

 空と海と。
 言葉にすると陳腐でしか無いそれは、変わらない圧倒力で眼前に広がる。

 随分と遠くに来た。
 目的地は無い。


「世界を回れ」


 ずっと昔に遺されたその言葉を今も守っている。
 強制とは違う力で、今も楔となり続けている。




 何かを思い出すときに目を閉じるのは彼の癖だった。
 そして今も彼は目を閉じている。


 彼らは今何をしているだろうか。
 知る術は無いけれど、閉じた裏に浮かぶ仲間たちは変わらない。
 今も。こうしているこの瞬間でさえも、きっと変わらない眩さで居続けるだろう。
 目を開けて彼は少し笑う。
 顔を上げて、空の蒼を仰ぐ。

 どれ位離れただろうか。
 どれ位連絡をしていないだろうか。

 それは彼が数えるのをとっくに辞めていた事だったが。



 帰ろうと思う場所と、会いに行こうと思う場所は今も違うけれど。
 そして帰ろうと思う場所は永遠にこの世界には無いのだけれど。


 自分の中だけで効き目を持つ、特別な言葉。
 口に出さずにどれ位の月日が経ったのだろう。


 久しぶりにその言葉を口にする。
 誰もいないその場所で小さく呟いたそれは、風にかき消されて儚く消えた。



 一区切りしたら
 この陸が切れるところまで来たら

 ここに在る、青と赤と橙と灰と黒と紫と
 闇の中に、茫洋と灯る白と黄と
 緩んだ頃に、覗き出す茶と緑と
 強く映え続ける、久遠の色と
 はらはらと失い、還っていく山吹と
 一面を覆う全ての色を

 世界中の全ての光を連れて、君の所に行こう。

 そして集めた全ての光の中で
 君が浮かべるのが笑顔だと良い。

 そしてその時またもう一つの光を手に入れる。

 世界中の全ての色を連れて、届くのが君の先なら良い。
 これから手に入れる光を連れて

 君の所に行こう。



* * * * * * * * *

 基盤イメージ「歩みだす向こうだけ」。話自体に繋がりはないですがなー。
「あいにきたよ」と対になってます(繋がってるようで繋がってないような感じなんだけど(ゲフ))。これはバッツ視点。

(08.07.08)

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